2007年05月10日12時05分 様々な事情で子育てできない親から新生児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」の運用が10日正午から、熊本市の慈恵病院(蓮田晶一院長)でスタートした。「命を救える」「育児放棄を助長する」。昨年11月の構想発表以来、全国初の試みに賛否両論が渦巻く中での運用開始だ。この日は朝から、病院に相談の電話が相次いでいる。
「赤ちゃんポスト」の前で、インタビューを受ける蓮田理事長=10日午前8時17分、熊本市島崎6丁目の慈恵病院で
「赤ちゃんポスト」の扉の内側にある保育器には母親あての手紙も置かれている=1日、熊本市の慈恵病院で
病院側はポストを「こうのとりのゆりかご」と名付けている。病棟1階にある「新生児相談室」の外壁に扉(高さ55センチ、幅60センチ)を設け、その内側に24時間保温の保育器を置いた。新生児を託し、扉を閉めると施錠され、再び扉を開けることはできない。新生児の安全確保のため保育器の監視カメラはあるが、親の匿名性を守るため、外にいる利用者は撮影されない仕組みだ。
病院側は産婦人科の看護師、助産師ら17人で24時間対応。新生児が保育器に置かれれば、保護するとともに熊本市や熊本県中央児童相談所、熊本県警に連絡する。
ただ、ポストはあくまで、出産に悩んだ末の「産み捨て」や「捨て子」を防ぐ緊急避難的な措置。扉のわきには相談用インターホンを設け、看護部長や看護師長が応じる。保育器内には「気持ちが変わったら連絡してほしい」などと呼びかける手紙を置く。
病院側にかかった相談などの電話は、この日の朝からだけで、すでに10本を超えた。蓮田太二理事長(71)は「うれしい一方で緊張感もある。預けるより、できるだけ相談してきてほしい。それが母子の大きな救いにつながる。ともに悩んでゆきたい」と話す。
熊本市も7日から、24時間対応の電話相談窓口を開設するなど、行政側も相談体制の強化を図っている。