磯で名所は 大洗樣よ 松が見えます 磯ほのぼのと
松が見えます 松が見えます 磯ほのぼのと
竹に雀は 品よくとまる 流れ小川は 堰すりやとまる
とめてとまらぬ 三千世界の 色戀の路
鮎は瀨に住む 鳥は木の枝に 人は情けの 下に住む
根のない浮き草 螢に一夜の アノ宿を貸す
大膽不敵な 女ぢやないか 陰でけなして 目先で惚れて
又もそのてで だます心が アノ恐ろしや
空飛ぶ蜂をば 一寸呼びとめて 貴方さす氣か ささぬ氣か
さすもささぬも お手の出し樣ぢや さすかも知れぬ
月にむら雲 花には嵐 主に浮氣の 癖さへなけりや
私しやどんなに 嬉しからうと 目にもつ淚
婿に行くなら 財產持ちに 嫁にとるなら 十七八よ
抱いて寢るなら 三十四か五か 六 七 八よ
一も二もない 私が惡い あの時貴方に 會ひさえせねば
こんな苦勞は しもせにや貴方に アノさせもせぬ
一も二もない 私が惡い 鄕里に妻子の ある主さんも
やぼな私が あるゆゑ世間が さぞせまからに
一里二里なら 自轉車で通ふ 五里や十里は 自動車で通ふ
千里へだてりや 當世流行りの 飛行機で通ふ