2006年4月20日 認知症の母親(86)の介護で生活苦に陥り、相談の上で殺害したとして承諾殺人などの罪に問われた京都市伏見区の無職、片桐康晴被告(54)の初公判が19日、京都地裁=東尾龍一裁判官(54)=であった。片桐被告が起訴事実を認めた後、検察側が片桐被告が献身的に介護しながら失職などを経て追いつめられていく過程を詳述。殺害時の2人のやりとりや、「母の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい」という供述も紹介。目を赤くした東尾裁判官が言葉を詰まらせ、刑務官も涙をこらえるようにまばたきするなど、法廷は静まり返った。
・・・
うろおぼえである。福岡かどこかで、老夫婦が無理心中(入水)をはかった。車いすの奥さんは川に転がり込み亡くなったが、足弱の旦那さんは川までたどりつけなかった。かけつけひきとめる人々に、川に放り投げてくれたのむ死なせてくれと、彼は泣きながらたのんだという。その公判で裁判官は目を潤ませて無罪を申し渡したあと、どうか生きてくださいと声をかけたそうである。
我々は、なぜ我々の命を生き抜かねばならないのだろうか。けだし、示唆にとむ悲劇であるかもしれない。