柳亭痴楽はいい男、鶴田浩二や錦之助、それよりもっといい男。
上野を後に池袋、走る電車は内回り、私は近頃外回り。
彼女はきれいなうぐいす芸者(鶯谷)、ニッポリ(日暮里)笑った
そのえくぼ、田畑(田端)を売っても命がけ、わが胸の内、
こまごまと(駒込)、愛のすがもへ(巣鴨)伝えたい。
おおつかな(大塚)びっくり、故郷を訪ね、彼女に逢いに
行けぶくろ(池袋)、行けば男がめじろ押し(目白)、
たかたの婆や(高田馬場)新大久保のおじさんたちの意見でも、
しんじゅく(神妙に?=新宿)聞いていられない。
夜よぎ(代々木)なったら家を出て、腹じゅく(原宿)減ったと渋や顔(渋谷)、
彼女に逢えればえびす顔(恵比寿)。
おやじが生きて目黒いうちは(目黒)、私もいくらか豪胆だ(五反田)。
おお先(大崎)真っ暗恋の鳥、彼女に贈るプレゼント、どんなしながわ(品川)
良いのやら、魂ちいも(田町)驚くような、色よい返事をはま待つちょう(浜松町)、
そんなことばかりが心ばしで(心配=新橋)、誰に悩みを言うらくちょう(有楽町)。
思った私が素っ頓狂(東京)、何だかんだ(神田)の行き違い、
彼女はとうに飽きはばら(秋葉原)、本当におかち(御徒町)なことばかり、
やまて(山手)は消えゆく恋でした。