古き名門に生まれし乙女に恋するを 誠の恋といい
巷の陋屋に生まれし乙女に恋するを 誠の恋でないと誰が言えようか
雨降らば雨降るとき 風吹かば風吹くとき コツコツと響く足音
嗚呼あれは 防衛大学の 学生さんではないかと言うも客の手前
あまた男に汚されし唇に 今宵またルージュの紅を塗り 誰をか待たむ巷の女
酒は飲むべし百薬の長 女買うべし これまた人生無上の快楽
酔うて伏す胡蝶美人ひざ枕 明けて醒むれば昨夜の未練さらさらなし
たたく電鍵握る操舵機 はたまたあがるアンカーの響き
船は出て行くポンドは暮れる われは海の子かもめ鳥
小雨降る春の小原に 木枯らし吹きすさぶ冬の波間に
歌は悲しき時の母 苦しき時の友なれば
我らここにある限り 小原の丘にある限り
絶ゆることなき青春の歌 いざや歌わん 防衛大学校逍遥の歌
鴬声凛る風とけて 並木かげろふ小原台 北に都を見下ろして
南に磯の数え歌 青き禽にやすらいて 花の香りを移さなん
船首に砕くる 青き波 雲わき上がる海原に 鉄腕鍛うる若人の
高き理想を誰か知る 遠く高桜かえりみて 共に奏でん橈の歌
塵も静かにおさまりて 紫紺に暮るる富士の峰 巻雲あかく映ゆるとき
思索は深し天地の 真理の光身に浴びて 平和を祈る影長し
星影寒く胸に入る 忍びて春を待ちながら 観音崎にたたずめば
四年の波は夢のごと 木枯らしに和し笛吹けば アンドロメダが西に舞う
cf. http://www.nda.ac.jp/ed/cheer/uta/a.html