みますやにはとびこんだので、はからずもご相席を願う。小皿と銚子を前にされた、泰然、悠揚、ほれぼれとするご老体。お土地がらであるからか、こちらやまつやには、時折、みとれるような方々が、そこここにたのしんでいらっしゃる。
としをとり、かれてゆく。そのすがたとかたちが、えもいわれぬほどに美しい、方がある。色ある花はにほひ失せず、にたとえるのは、なるほどおかしいかもしれないけれど。
話さない話に色があり、話したい話に花はない。
残念ながら、わたしにはことばしかない。しかし、匂い立つところのものは、けして、ことばではないのである。