勉強が楽しいという若者は別である。私は若い頃から人並み以上に、勉強が好きだったと記憶している。しかし、その私でも、勉強が全然苦でなかったといえば、それは嘘になる。勉強という字は「勉め強いる」である。たいていの人にとって、それは苦痛をともなうものである。そんな苦しい勉強というものを、しかも、将来必ずしも役に立ちそうにもないにもかかわらず、しかも、日常的に使うたし算、ひき算等以外はほとんど忘れてしまうにもかかわらず、なぜ、勉強をしなければならないのか。この問いに対する答えは、実は、私にもわからない。それでも私は若者に向かって、断固迷いなく「勉強しなさい」と言う。