……私の目の前では多くの人々が煙に巻かれ,火だるまになって声もなく倒れていくのが焔の隙間に散見される。それを助けにいきたくても出て行くことが出来ない。倒れた人の体は強風に吹きたたかれ激流の如く流れる大火流に乗って火をふきながら芋俵を転がすように急速に押し流されていった。
石川光陽(1988)『グラフィック・ レポート 痛恨の昭和』岩波書店
……泥にまみれたライカを,ばんこくの怨みを呑んで死んでいった多くの死体に向けることは,眼に見えない霊から「こんなみじめな姿をとるな」と叱責されるような気がして,その手はふるえ,シャッターを押す手はにぶった。
石川光陽 森田写真事務所編(1992 )『グラフィック・ レポート 東京大空襲の全記録』岩波書店
cf. ボタン5つで1人 2005-03-10 http://ignis.exblog.jp/2227245/
cf. 「噫横川国民学校」井上有一 2006-03-10 http://ignis.exblog.jp/4244578/