山口甚之助さん
ああ、俺、手離さなければよかったんかなと思って。しかし、あんな大きな渦や、
どうしてもバラバラになるしなと思ったりしてね。そんなこと、初めのうちは思いよった。
俺の足でもつかんどってくれりゃなと。渦の中へ入っていくのは一緒に入ったけども、
出てくる道が間違うてしもうたんやね、2人で。向こうがまっすぐの道行って
俺が迷ったんか、俺がまっすぐ行って向こうが迷ったかどっちか分からんけれども。
中谷健祐さん
「大和」はね、戦艦大和はまぁ良いにつけ悪いにつけね、わたしの青春じゃ、「大和」は。
戦争やけ、「大和」は憎いと思うてみたり、片一方じゃ懐かしいと思ったりね、ほんと不思議な。
うーん。戦争そのものはもう絶対嫌よ。戦争は嫌だが「大和」は好きだね、
うーん。ほんとほれぼれするような船だった。いい船じゃったなぁ、ありゃあ。
中道豊さん
自分の人生で、あれでも大和の生き残りかと、言われないように。ね。
そういう恥をかかないようにね、そういう生き方。な。その気持ちは今までも持っとる。
あれが大和に乗った男かと、ね。そんな指差されるようなことはね、恥ずかしいわのう。
それが今まで私を支えてきたね、何ですわ、今までの。
恐らく死ぬまで。あの大和(寝室の模型)も北枕。あれ、こっち北やから。あれ北枕や。
うん。あれ北枕おいて、ちょうど床の間はこっちが西や。こっち東や。こっち北や。
これで南や、あれ北枕にしとる。わしもあれと枕を並べてな、ここで死にたい。
亀山利一さん
こんだけの行事やわな。わしの朝の行事は。べつに他のこと何もやっておらへんけど、
あの、あれや、命日やで。命日と誕生日って言って。うん。命日と誕生日やわ。
4月7日には、死んでおって、それからまた生きてきたのやで、誕生日や。
巨大戦艦 大和 ~乗組員たちが見つめた生と死~
http://cgi2.nhk.or.jp/shogenarchives/bangumi/movie.cgi?das_id=D0001230007_00000