春爛漫の花の色 紫匂ふ雲間より 紅深き朝日影
長閑けき光さし添へば 鳥は囀り蝶は舞ひ 散り来る花も光あり
秋玲瓏の夕紅葉 山の端近くかぎろへる 血汐の色の夕日影
岡の紅葉にうつろへば 錦栄えある心地して 入相の鐘暮れて行く
それ濁流に魚住まず 秀麗の地に健児あり 勤倹尚武の旗の色
自治共同の笛の聲 白雲なびく向陵に 籠るも久し十余年
嗚呼衰へぬ東洋の 二千余載の君子國 銀鞍白馬華を衒ひ
翠袖玉釵美をつくし 栄華の夢をむさぼりて 文明の華に人酔へり
港を遠み夜はくらく さかまく怒涛の大洋に 木の葉の如く漂へる
梶の緒絶えたる小舟すら 遥かに見ゆる明星の 光に行手を定むなり
自治の光は常暗の 國をも照らす北斗星 大和島根の人々の
心の梶を定むなり 若し夫れ自治のあらずんば 此國民を如何にせむ